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アジシオ/ファルス

プロジェクトタイプ

Object

日付

2017

場所

阿佐ヶ谷アニメストリート(東京)2017、ART-Space-Zero-Point(東京)2019

展覧会

阿佐ヶ谷アンデパンダン展/KITCHEN展

夜中にトイレへ向かう際、突然壁にファルスの影が浮かび上がり目を見張った。確認するとテーブルに置いたiPhoneの光がアジシオを照らしていた。2017年頃の出来事である。
当時私は30歳、むすめはまだ幼稚園児だった。核家族として埼玉県の小さなアパートに住んでいた。日中はスーパーのレジのパートタイマーとして働いていたものの、それ以外では社会的なコミュニティに属しておらず、子育ての最中、時間を作って絵を描いていた。
女性として、母親として、一番被害者意識が強かった時期でもある。

アジシオは家の中のオブジェクトで、食卓や台所に置いてある見慣れた調味料だ。つまり、「私側」のはずだった。

ソフトスカルプチャーで空間を埋め尽くす草間彌生をはじめとし、性の違いとそれを軸に生まれた社会的構造に加害性を見出す作品は多々ある。特に女性が扱うファルスは、恐怖の対象のモチーフとして、もしくは女性側の反撃の象徴として、二項対立を容易に表せるアイコンのような働きを担ってきた。
しかし、私が男根を見出したのは、意識が朦朧とした夜中の台所、私のよく見知った場所で、生活になじんだ物体が光に照らされたその瞬間だった。
そのとき、確かに「奇妙で美しい」「怖い」「しかし、これは私の物だ」と思った。
私はこの作品を誤解のないよう言葉で説明する術をまだ持っていない。

© 2026 Itsuki Sato

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